「運も実力のうち」は本当か?成功者5人の“運の捉え方”に学ぶ人生の本質か?成功者5人の答えと習慣

経営の世界では「努力」「戦略」「才能」などが成功の鍵として語られがちだ。
だが、一流と呼ばれる経営者やトップアスリートたちがこぞって語る、もう一つの決定的要素がある。
それが「運」だ。

「運がなければここまで来られなかった」
「最終的には運だった」
──このような言葉を残す成功者は少なくない。

この記事では、ドン・キホーテ創業者・安田隆夫氏、実業家・斎藤一人さん、経営哲学者・稲盛和夫氏、ニトリ創業者・似鳥昭雄氏、そしてメジャーリーガー・大谷翔平選手という5人の実例と思想をもとに、「運」とは何か、そしてどうすれば味方にできるのかを探っていく。


安田隆夫会長|運は創業家の資質の一つ

ドン・キホーテ創業者の安田隆夫会長は、運の重要性を明確に語る経営者だ。

著書『運 最強の遺言』(文春新書)ではこう述べている。

「創業家に必要な資質のひとつは“運の良さ”だと本気で思っている。」

さらに彼は、運には「個運(個人)」と「集団運(組織)」があると定義し、
「運の感受性が高い人は流れを読み、勝負どころで一気に動ける」としている。

2023年のダイヤモンド・オンラインでも、

「運がなければ、売上高2兆円、時価総額2.5兆円は不可能だった」

と断言。運を“努力や戦略と並ぶ経営資源”と捉える姿勢を示している。

安田氏にとって、運とは偶然ではなく「流れを感じ取り、乗る力」。
創業のカギは、まさに“運の使い方”にあったということだ。


斎藤一人さん|運は言葉と波動でできている

納税額日本一の実業家として知られる斎藤一人さんは、運に関する名言を数多く残している。

「運のいい人っていうのは、運のいい言葉を使っている人なの。」

彼の思想は、日々の「言葉」にこそ“波動”が宿り、それが現実を創るというもの。
「ついてる」「ありがとう」「嬉しい」「楽しい」などの明るい言葉を使い続ければ、
運は必ず上向くという。

さらに彼は、運とは「感謝と笑顔のエネルギーの結果」だとも語る。

他人の成功を喜び、目の前の人に感謝し、自分の機嫌を自分で取る。
その積み重ねが、人・お金・情報という目に見える運を引き寄せるのだ。

斎藤さんにとって、運とは天から降ってくるラッキーではなく、
**「言葉と心の状態が作り出す“周波数”」**であり、誰もが高められる力である。


稲盛和夫氏|運を語らずして運を育んだ哲学者

京セラやKDDIの創業者であり、JALを再建に導いた稲盛和夫氏もまた、
「目に見えない力」が成功の鍵であることを語ってきた。

興味深いのは、稲盛氏があまり「運」という言葉を使わない点だ。
代わりに彼が繰り返し使っていたのが、「因果応報」「宇宙の法則」「魂の向上」といった表現である。

「利他の心で働けば、巡り巡ってすべて自分に返ってくる」
「良き思い、良き行いは、良き結果を生む」

稲盛氏の哲学では、「動機善なりや、私心なかりしか」を判断基準にし、
善なる思いで行動することが、見えない力となって成果を生むとされる。

つまり彼にとって、運とは“宇宙の摂理に基づいた返報”であり、
偶然ではなく「魂のあり方が引き寄せる現象」だと言える。


似鳥昭雄氏(ニトリ創業者)|「運が7〜8割」──運を創る経営哲学

ニトリの創業者・似鳥昭雄氏もまた、運を明確に経営の核として語る人物である。

「ニトリの成功は運が7割、実力が3割。いや、8割かな(笑)」
(文藝春秋インタビューより)

さらに、彼の著書『運は創るもの』では、
運は偶然ではなく、日常の姿勢や習慣、判断の積み重ねで自ら創り出すものであると語っている。

過去の失敗やリスクを“運の芽”と捉え、それをどう活かすかが経営の本質だと述べ、
「運は感謝と誠実の先に現れるエネルギー」として体系的に整理している。

似鳥氏にとっての運とは、
棚ぼたではなく“結果を引き寄せる流れの整え方”なのだ。


大谷翔平選手|高校時代から「運」を目標に組み込んだ男

経営の世界ではないが、世界的なトップアスリートも「運」の本質を見抜いていた。
それが、メジャーリーガー・大谷翔平選手である。

高校時代、彼は目標達成のための「マンダラチャート」を作成。
中心には「8球団からドラフト指名される」という目標があり、周囲に配置された要素の一つに、はっきりと「運」と書かれている。

そして、その「運を高める行動」として書かれていたのが以下である。

  • あいさつ
  • ゴミ拾い
  • 審判への礼儀
  • 応援される人になる
  • 部屋掃除
  • 友達を大切にする

つまり大谷選手は、「運とは人間性や日常の行動から生まれるもの」と理解していた。
この姿勢はまさに、斎藤一人さんや稲盛和夫氏の哲学と重なる。

運は偶然ではなく、「人間力の総合結果」として積み上がっていくもの──
彼の現在の活躍が、それを証明している。


運は育てられる経営資源である

ここまで紹介してきた成功者たちに共通しているのは、「運を偶然とは捉えていない」ということ。

むしろ運は、次のような具体的な要素の積み重ねで構成されている

  • 言葉(波動)
  • 行動(習慣)
  • 思考(動機)
  • 感謝(在り方)
  • 社会性(利他)
  • タイミング(感受性)

これらが合わさり、ある人には“流れ”が生まれ、
ある人には“偶然のような必然”が訪れる。

運とは、**意図的に育てられる「経営資源」**なのだ。


今日からできる「運を高める」習慣

運を味方につけるために、今すぐ始められるシンプルな習慣がある。

  1. 明るい言葉を使う:「ありがとう」「ついてる」「うれしい」など
  2. 身の回りを整える:掃除、整理整頓、靴を揃えるなど
  3. 笑顔で人に接する:自分から先に笑顔を見せる
  4. 与える姿勢を持つ:損得でなく“誰かのために”動く
  5. 流れを読む感性を養う:静かな時間を持ち、自分の内側に耳を澄ます

こうした“運の土台”を整えることで、あなたにも不思議な引き寄せが起こるかもしれない。


まとめ|運を信じ、育てることが未来をひらく

「最後は運だった」──この言葉を、軽く受け取ってはいけない。
それは、努力と実践を積み重ねた人間だけがたどり着ける境地だ。

運とは、
天が与える気まぐれではなく、
自分自身の在り方と行動の中で育てていく“見えない資産”である。

一流の成功者たちはそれを知っていた。
そして、私たちにもそれは開かれている。

今日の言葉、今日の行動が、未来の運をつくる。
「運を信じる者」が、想像を超えた未来をひらいていくのだ。