運は自分で開くもの──伊勢神宮から学ぶ「ツイてる」生き方

初詣とおみくじ
お正月、神社に初詣へ出かけると、境内のあちこちでおみくじを引く人の姿を見かけます。
新しい一年の運勢を占い、今年はどんな年になるのかを楽しみにしている人も多いでしょう。
全国どこの神社にも、たいていはおみくじが置かれています。
「大吉が出たらうれしい」「凶だったら気をつけよう」と、一喜一憂しながら結果を眺めるのも初詣の醍醐味かもしれません。
伊勢神宮にはおみくじがない
ところが、日本の神社の中でも特別な存在である伊勢神宮には、おみくじがありません。
なぜだと思いますか?
その理由は、こうです。
「伊勢神宮を参拝できた人は、みな大吉」
伊勢神宮は、単に「行こう」と思って行ける場所ではないと言われています。
人は、自分の意思だけでなく、「呼ばれて」訪れるのだそうです。
呼ばれなければ、たとえ予定を立てても行けないことが多いのです。
私の知人にも、何度も「伊勢神宮に行きたい」と言いながら、行くはずの日に急な仕事や用事が入り、行けない人がいます。
逆に、ふとしたきっかけや偶然の流れで伊勢神宮参拝が叶ったという人も少なくありません。
だからこそ、「呼ばれて参拝できた」という事実そのものが、大吉にあたるのです。
おみくじとの向き合い方
おみくじは、引くこと自体を楽しむのは良いことです。
ただ、その結果に必要以上に振り回されるのはもったいない。
運勢は、おみくじが決めるものではなく、自分の心と行動でいくらでも変えられます。
「運を試す」のではなく、「運を開き、良くする」ことのほうがずっと大事なのです。
出来事の意味は、捉え方次第
例えば、朝出かけようとしたとき、靴ひもが切れたとします。
- 「ツイてない…」と思えば、その瞬間から気分は曇ります。
- 「外出先で切れなくてよかった、ツイてる!」と思えば、むしろ感謝の気持ちが生まれます。
同じ出来事でも、受け取り方一つで感情は真逆に変わります。
そして、その感情がその日の行動と結果を左右します。
財布を落としたとき
もっと大きな出来事も同じです。
もし財布を落としたら、多くの人は「最悪!ツイてない!」と感じるでしょう。
しかし、そう思っても財布は戻りません。
一方で、「命まで落とさなくてよかった、ツイてる!」と捉えれば、冷静に警察やカード会社へ連絡できます。
被害を最小限に抑えられ、場合によっては財布が見つかる可能性だってあります。
感情を落とし込むより、状況を受け入れて行動するほうが、結果的に運は好転します。
運は「思考の習慣」
「運がいい」「ツイてる」というのは、単なる偶然ではなく思考の習慣です。
ポジティブな視点を持つ人は、小さな良いことにも気づきやすく、それがさらなる良い出来事を呼び込みます。
逆に、「ツイてない」と考える習慣があると、無意識に悪い面ばかりを探し、結果的にそれが現実になります。
心理学ではこれを選択的注意と呼びます。脳は、自分が意識しているものをより多く拾い集める性質があるのです。
物事の両面を見る
物事には必ず、良い面と悪い面があります。
片側だけで判断すれば、真実を見誤ります。
例えば──
「大好きな人にフラれた」
→ 裏側には「もっと素敵な人と出会えるチャンス」があります。
「大好きな人と結ばれた」
→ 裏側には「いつか死や別れが訪れる」という現実があります。
だからこそ、一方だけを見て喜んだり悲しんだりするのではなく、その出来事全体に感謝する心が大事です。
感謝が運を育てる
感謝は、運を引き寄せる最大のエネルギーです。
感謝の習慣を持つと、脳は「ありがたいこと」を探すようになります。
それがまた感謝すべき出来事を引き寄せるという、良い循環が生まれます。
- 朝目覚めたこと
- 家族や友人の存在
- 健康な体
- 今日食べる食事
- 自分を成長させる出来事
どんなに小さなことでも感謝できれば、その人はいつでも大吉です。
「ツイてる」を口癖にする
言葉は思考を形づくり、思考は現実をつくります。
「ツイてる」「ありがたい」を口癖にすると、それが潜在意識に刷り込まれます。
やがてその言葉にふさわしい現象が自然と集まってくるのです。
今日からできる「運を開く習慣」
- 出来事の良い面を探す
嫌なことがあったら「でも、そのおかげで…」と続ける。 - 感謝を口に出す
心で思うだけでなく、声に出して「ありがとう」を言う。 - おみくじの結果に依存しない
良い結果なら素直に喜び、悪い結果なら行動のヒントにする。 - 「ツイてる」を口癖に
脳がポジティブな現象を探しやすくなる。 - 行動で運を広げる
新しい場所や人に会いに行くことで、チャンスの数を増やす。
まとめ
伊勢神宮のおみくじが存在しない理由は、「参拝できた時点で大吉だから」。
運は、外部の結果に左右されるものではなく、自分の心と行動でいくらでも開くことができます。
大切なのは、起きた出来事をどう解釈し、そこから何を学び、どう感謝するか。
喜びも悲しみも、光も影も、すべてを受け入れることが、真の「ツイてる人生」への入り口です。