【いい質問が人を動かす】― コーチングで変化を生み出す質問力
ひろ社長
人を動かすのは「答え」ではなく「質問」
コーチングを学ぶと、最初に気づくことのひとつに、**「人を変えるのはアドバイスではなく、質問である」**という真理があります。
クライアントに答えを与えるのではなく、質問を通じてクライアント自身が答えを見つける。
それがコーチングの基本であり、最も強力なアプローチです。
運がいい人は「質問」が違う
「運がいい人と悪い人の違いは何だろう？」
シンプルに言えば、運がいい人は“より良い質問”をしているということです。
結果、より良い答えを手に入れ、行動も結果も変わっていくのです。
例えば、同じ出来事が起こったときの質問の違いを見てみましょう。
- ×質問：「なんで、こんなことができないんだ？」
- 〇質問：「どうしたら、できるようになるんだろう？」
同じ状況でも、この質問の違いが行動の方向性を大きく変えます。
コーチングのセッションでも、質問の質がクライアントの未来を決めるといっても過言ではありません。
質問が生み出す未来：ヘンリー・フォードの思考
自動車の黎明期、多くの人々は「どうすれば車をつくれるか」という問いに答えようとしていました。
しかし自動車王ヘンリー・フォードは、まったく違う質問を投げかけます。
「どうしたら、この機械を大量生産できるだろう？」
この問いが、のちの大量生産システムを生み出し、自動車産業のあり方を根底から変えました。
質問が未来をつくるのです。
思考はすべて質問から始まる
私たちの思考は「質問」と「答え」の繰り返しです。
- 「これは本当に正しいのか？」
- 「自分はこの意見に賛成できるのか？」
- 「もし失敗しないとしたら、何をやりたい？」
脳は質問を受けた瞬間に答えを探し始めます。
つまり、どんな質問を投げかけるかで、脳が探しにいく“答えの質”が変わるのです。
これこそがコーチングで質問力を磨く理由です。
W・ミッチェルの物語 ― 質問が人生を変える
質問で人生を変えたW・ミッチェルの物語です。
彼は大事故で全身に火傷を負い、両脚の機能を失いました。
しかし、彼は自分を哀れむ代わりにこう質問しました。
- 「いまの僕に残された能力とは何だろう？」
- 「いま僕ができること、事故に遭う前よりも可能なことは何だろう？」
- 「事故に遭ったことで、むしろ他の人の役に立てることは何だろう？」
その質問の結果、彼は事故を乗り越え、看護師のアニーと出会い結婚し、市長に当選し、修士号を取得し、環境問題にも取り組み、講演家としても成功を収めました。
質問が人生の可能性を広げたのです。
コーチが使うべき質問の種類
コーチングで用いる質問は、大きく分けて3種類あります。
1. 現状を知る質問
- 「今、どんな気持ちでいますか？」
- 「この課題について、何が一番の悩みですか？」
クライアントの現状を正確に把握するための質問です。
2. 未来を描く質問
- 「もし理想の未来を自由に描けるなら、どんな姿ですか？」
- 「その未来が実現したとき、何を感じていますか？」
未来のイメージを鮮明にする質問は、モチベーションを引き出します。
3. 行動を促す質問
- 「今日できる最初の一歩は何ですか？」
- 「もし障害がなかったら、何をしますか？」
行動にフォーカスする質問は、セッション後の実行力につながります。
質問力を磨くための実践ステップ
ステップ1：ジャッジしない
良い質問は、相手を裁かないところから生まれます。
**「なぜできないんですか？」**ではなく、
**「どうしたらできるようになると思いますか？」**と聞く。
質問のトーンや意図を変えるだけで、相手の反応は大きく変わります。
ステップ2：沈黙を恐れない
コーチングでは、質問した後の沈黙はチャンスです。
沈黙はクライアントが深く考えているサインであり、その先に大切な気づきがあります。
急いで埋めずに待つ勇気を持ちましょう。
ステップ3：オープン質問を増やす
「はい・いいえ」で答えられる質問ではなく、
**「どのように？」「何が？」「なぜ？」**といったオープン質問を使うことで、クライアントの思考が広がります。
自分自身への質問も忘れない
コーチ自身もまた、質問によって成長します。
- 「私はどんなコーチでありたいのか？」
- 「クライアントのために、今できる最高のサポートは何か？」
- 「次のセッションで、何にチャレンジできるだろうか？」
自分への質問が変われば、コーチとしての在り方も変わります。
あなたはどんな質問をしますか？
ここで考えてみましょう。
もし失敗を恐れなくていいとしたら、あなたは自分にどんな質問をしますか？
- 「本当は何を成し遂げたい？」
- 「誰と一緒にそれを成し遂げたい？」
- 「その未来に近づくために、今日からできる一歩は何？」
質問が変われば、答えが変わります。
答えが変われば、行動が変わり、結果が変わります。
それがコーチングの力です。
新たな質問が新たな未来をつくる
質問は、相手を変えるためのものではなく、相手の中にある可能性を引き出すためのものです。
そして、自分自身を成長させるための最強のツールでもあります。
コーチとしてのあなたは、クライアントにどんな質問を投げかけますか？
そして、あなた自身にはどんな質問をしますか？
新しい質問が、新しい答えを生み、新しい人生をつくります。
質問の力を信じ、今日から実践してみてください。
